しあわせ推進会議の設立する経緯と趣旨
世界で一番幸せな国と呼ばれるブータン王国からの教え
しあわせ推進会議を発足・設立に至った
その構想はいつからですか?と尋ねられたら、
その始まりは、2010年に高知県で開催された
経済同友会の全国セミナーに遡ります。
その際、ブータン王国のジグミ・ティンレイ首相が
高知までおいでいただき、基調講演でご登壇をいただいて
GNH(Gross National Happiness)という
幸せについて国民総幸福量についてお話をいただきました。
ブータン王国は、世界で一番幸せな国とも呼ばれており
このキャッチフレーズは、きっと一度は耳にしたことがあると思います。
当時、ブータン王国は人口が68万人だったそうなのですが
「自然環境の保護」など4つの柱からなる
国民総幸福量の指標を作っているという
幸福を価値観に置く先進国、でもあるのです。
同首相は「国内総生産(GDP)ばかりを追求する社会は
持続可能ではない」とその講演の中で述べられて、
自然や文化の豊かさから得られる幸福を求めるよう
暮らし方を変えていくべきだ、と提言されました。
実際、第3代ジグミ・ドルジ・ワンチュク国王が
発展のゴールは『国民の繁栄と幸福』であるという考えを表し、
第4代ジグミ・シンゲ・ワンチュク国王が
『我々の国の方針は、国や国民の為に経的独立、繁栄、幸福を実現し国をまとめることだ』と語ったことからも
「経済的な豊かさではなく精神的な豊かさを重んじる」ということがよくわかります。
しかし、その翌年、高知県、高知県民は、
全国で様々な統計や指標が発表されている中で
最も衝撃を受けるような発表があり、それを体感するのです。
阪本光司先生によると、高知は幸福度が低い県民であると
位置づけがされるランキングが発表され、
それ以降、経済指標を中心にしたランキングでは
ずっと幸福度が低いと低迷を続けるような状況です。
当然、土佐経済同友会という経済団体としては、
「そんなはずはないぞね!」という思いがありました。
GKH(Gross Kochi Happiness)の誕生!
『高知県民は本当に不幸せなのか?』
ランキングだけを見ればそうなのかもしれませんが
実際のところ、多方面で見方を変えれば??
書籍をよく読む人の割合は全国第4位。
教員1人当たりの生徒数は最も少なくて
教育現場は全国と比べて満たされている。
可処分所得についても世帯で見れば
全国第6位と良い数字もたくさんあります。
では、高知の幸福度というのを
これからどういう風に考えていくか?
土佐経済同友会でもこのことを踏まえて
『GKH(Gross Kochi Happiness)』
「高知の幸せを推進していこうよ!」というような
独自の指標をつくろうという働きかけを行い、
2012年2月にGKH委員会が新たに発足しました。
当時、高知県とも共同で取り組ませていただき、
2014年からは、3年間約43団体が一丸となって、
『高知県県民会議(高知県の幸福度を考える県民会議)』という
通称、GKH県民会議を立ち上げまして、
GKH(Gross Kochi Happiness)の指標を
ずっと作らせていただいてきた経緯がございます。
その結果、2016年の10月3日に開催された
この『土佐の日』のイベントにおいて
その指標を全国に向けて発表させていただきました。
そして、指標の作成までの目標を達成し、
一旦、高知県県民会議も活動を休止。
その後、解散をいたしました。
そして、しあわせ推進会議の設立へ
土佐経済同友会では「高知県10年ビジョンの提言」の中で、
目指すべきビジョンとして、2011年に提言を行いましたので
GKHの推進を続けていくように予定しておりましたが
新しい発展のチャンスを待つような状況でした。
そのような時、2020年4月に、
10年ぶりに経済同友会の全国セミナーを
高知県で再度開催するという話をいただき、
全国の方々が再び高知においでになる機会ができました。
10年ぶりの経済同友会のセミナーでは
この10年間の活動の成果を発表するべく
メインテーマについても、GKHの延長線上にある
“幸せ”について話し合っていきたい!という議論のもと、
今回『しあわせ推進会議』を発足するに至りました。
解散をした高知県県民会議の次団体として発足し
高知県だけではなく、全国に幸せについての
普及と推進ができるような団体があるべきではないか?という思いで
2019年10月3日、51の個人・団体の皆様にご賛同をいただき、
今日の日を迎えることができました。
あなたは、しあわせですか?
土佐経済同友会では、過去3度の
アンケート調査を行わせていただきました。
県民の皆様にご協力をいただきまして
“幸せ”について、色んな指標を出させていただきました。
2019年は、その4回目を7月に実施し、
約4,000人の県内外の方々がご協力いただきました。
今後は、毎年幸福度の分析を行いまして
発表させていただくことになっていますが、
2019年のアンケート結果を見ていくと
「あなたは、幸せですか?」
そういう質問を聞かれるだけで、
幸福度が上がっていくんではないか?という
そういう仮説が出てきました。
実は、高知大学の理工学部の学生の皆様に
GKHのお話をさせていただく機会があり、
学生の皆様に「皆さん、今、あなたは幸せですか」と
ふと尋ねてみるようにしたのです。
すると、最後に提出していただいた感想には
「幸せかどうかは初めて聞かれました」という言葉もあり、
幸せかどうかということを誰も聞くことはしないんだなぁ…と
だんだんそのように思うようになったわけです。
私も、企業経営者の1人ですが、
自分の会社の従業員さんたちに
また、自分の家族に対してまでも
「あなたは、幸せですか?」と
自分の妻にさえ「幸せ?」とは尋ねないんです。
だから、聞くことによって、幸福度が
ずっとアップしていくんじゃないだろうか?という
仮説を私自身も持つようになりました。
世代や組織を超えて、縦にも横にも連携していく未来へ
近年、日本全国で幸福度が薄いお話ばかりが起こります。
今後は、地域がまとまって色んな問題や課題に対応していくためには、
“幸せ”というキーワードや価値観が軸になり、
世代や組織を超えて、縦にも横にも連携していくことが
とても大事な時代になってきたのではないか?と予測いたしました。
一般社団法人しあわせ推進会議を発足するにあたり
発起人になっていただいた43の個人・団体の皆様に
今回のしあわせ推進会議にご賛同をいただく際に
経済団体が関わりあいが持ててないような団体さんが
実は数多く、高知県内にはあったこと、
そして、2019年の4,000人のアンケートの中にも、
どうしても経済団体がアンケート調査をすることによって、
例えば高齢者の方、そして学生さん、そして主婦・女性の方など
アンケート調査の少なくなっているのも事実でございます。
やはりそういった問題点をどのように今後解決するか?
幅広く、色んな階層の方、世代の方にご参画いただいて、
そういった人たちを含めた幸福度を調査していくことによって、
やっぱり地域の幸福度を上げていくこと、
また企業の幸福度を上げていくこと、
引いては、日本全国の幸福度を上げていくこと、
それしかないのではないか?という結論に至りました。
それが、今回、一般社団法人しあわせ推進会議を
発足するにあたり、大きなバックボーンとなりました。
2019年のアンケート結果では、大きな問題として、
特に70歳以上の高齢者の方と、20歳以下の若者や青少年の方が、
幸福度が低いという回答の結果も出てきております。
これは、どうしても経済団体との関わり合いが少なく、
実態が掴めていないという課題になりますが、
アンケートの結果から出てくる指標を基にして、
今まであまり注目が行き届いていなかった方々の
声を拾っていくようになれるのもひとつの改善と好転ですし、
高知市中心のアンケートの回収に幅を広げて、
高知県内34市町村にもぜひご協力をいただき、
色んな意味でそれぞれの地域の声を吸い上げていけるような
仕組みを高知が全国初で取り組んで行けたらと考えております。
日本全国へ!しあわせを推進し広げていく
また、今回、一般社団法人しあわせ推進会議を
発足するにあたり、大きなポイントになったのが
実は、公益社団法人経済同友会の前代表幹事でもあります
三菱ケミカルホールディングスの会長の
小林喜光様に、発起人の1人になっていただけたことです。
これは高知県だけの取り組みとして幸せの指標を作り
幸福度を上げていく、というのではなく、
“幸せ”という指標や価値観について日本全国へ
広げていく必要性があるのではないか?という課題があります。
そして今、国連サミットで採択された持続可能な開発目標
SDGsの定めた17の項目をクリアしていこうという中にも
色んな幸せのテーマが含まれていますが、
やはり、SDGsでは解決されないようなことは
GKHのように、幸せの指標を作成することによって
解決されていくものがあるのではないか?ということです。
そのため、公益社団法人経済同友会の前代表幹事の
小林喜光様にも、その趣旨にご賛同をいただきまして
発起人の代表になっていただいた経緯がございます。
今後は、県外にも「しあわせ推進会議」を広げながら
各地域地域の特色を出した『絆のネットワーク』を
広げていければというような想いも持っております。
アンケート調査をみていくと幸せ度が高い人というのは、
地域との関わりがあったり、一人一人の繋がりがある方は
すごく幸せ度が高いということが表れています。
例えば「困ったときに相談できる人はいますか」という調査項目では、
やはり地域や人と繋がりがない人にとっては、「不幸せ」という
度合いが高くなってしまっており、その繋がりをどういう風に変えていくかも
今後の、非常に大きなポイントになるのではないか?と思っております。
このあたりのことも、やはりどのようにして、
世代や組織を超えて縦にも横にも繋がっていくことができるか?が
一つの大きな私たちの課題ではないかとも思っております。
アプリの開発も目指しています!
そのために、今後は「幸せ」をテーマにした
スマートフォンのアプリケーションを
一般社団法人しあわせ推進会議が中心になって
作っていきたい!とも思っております。
今、すごく電子デバイスが発達しております。
そして、コミュニケーションの中心がSNSになっています。
そういった中でやはり幸せ度を瞬時に計り、
たくさんの人たちの“幸せ”を拾い上げていけるような
仕組みができないだろうか?ということで、
アプリケーションの開発を念頭に置いております。
今回、ホームページまでは作ることができたので
今後、皆様からいただく会費や協賛金、スポンサー料を含め
資金を集めながら、アプリケーション制作にも取り組みます。
今後、県民・市民・全国の方々との繋がりを
どのように作っていけるのか?
また、世代や組織を超えた縦と横の人と人との繋がりを
作っていくための団体として、活動をしていこうと思っております。
これからも何卒よろしくお願いいたします。
2019年10月3日
一般社団法人しあわせ推進会議
代表理事 会長 小川雅弘
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