高知県民総幸福度(GKH)に関するアンケート調査結果の総括
高知県民総幸福度(GKH)に関するアンケート調査の総括レビュー取りまとめ結果
高知県民総幸福度(GKH)に関するアンケート調査の総括レビュー報告
高知県県民総幸福度(Gross Kochi Happiness: GKH)は、GDPや経済成⾧など物質的豊かさという従来の価値基準だけでは測ることが難しい幸福実感を捉え、高知県独自の豊かさを示している「高知県民総幸福度(Gross Kochi Happiness(GKH)」を調査し進めていくため、土佐経済同友会GKH委員会によって2013年度からアンケート調査が過去7回にわたって実施されてきました。
2020年度からは、一般社団法人しあわせ推進会議と土佐経済同友会GKH委員会にて共同で実施し、2021年度からは、一般社団法人しあわせ推進会議と土佐経済同友会GKH委員会と国立大学法人高知大学次世代地域創造センターと三者協定を結んで、三者で実施と分析や研究を深めて参りました。
本レビューは、これまで計7回(2013年度、2014年度、2016年度、2019年度、2020年度、2021年度、2022年度)実施されてきた高知県県民総幸福度(以下、「GKH」という。)にかかるアンケート調査結果について、高知県民が感じる主観的な幸福実感に関して、マクロ的に見たその特徴や傾向を捉え、総括的なレビューを行うものです。
なお、アンケート調査項目は、2019年度から大幅に改定がなされており、アンケート実施当初から現在に至るまでの推移の把握や経年比較がが難しい内容となっている一方、2019年度以降は若干のマイナーチェンジを重ねながら、ほぼ毎年同様の調査項目でアンケートが実施されています。
このため、本調査では、GKH調査を開始した当初から共通して捉えている一部項目での比較レビューに加えて、特に全体的な主観的幸福度との関係については、2019年度から2022年度の4年間の比較分析を中心にカバーしています。
これまで全7回に亘って実施されたアンケートは、延べ3万人を超える方に、その目的・趣旨をご理解のうえ、ご協力いただきました。
この調査にご協力をいただきました皆様には、心より御礼を申し上げます。
誠に、ありがとうございました。
「高知県民総幸福度(GKH)に関するアンケート調査」総括レビュー報告
令和5年(2023年)3月
共同研究実施機関
一般社団法人しあわせ推進会議
土佐経済同友会 GKH委員会
国立大学法人高知大学 次世代地域創造センター
【調査の総括】
近年、人々の幸福度・ウェルビーング向上に着目した取り組みが注目を集めています。気候変動による環境の持続不可能性、人口減少と社会の高齢化、益々広がる所得格差や不平等、新型コロナウィルス感染症の拡大など、これまでの右肩上がりを前提とする様々な社会システムに歪みが生じており、将来にわたる地域づくりのあり方そのものが問われてきています。
ここ最近では、人々の幸福度の向上は、単に国内総生産(GDP)の水準やマクロ経済成長など、経済的・物質的豊かさの追求という価値基準だけでは、必ずしも人々の幸福度の向上にはつながらず、真の幸福実感を捉えきることができない、という考え方が浸透し始めています。このことは、2015 年に国連総会にて全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」にある持続可能な開発目標(SDGs)にも示されているように、経済面、社会面、環境面の調和のある成長が不可欠であるとする持続可能な開発(成長)概念にも通じるものがあります。
海外では、ブータンの他、フランスやイタリアなどでも本格的な幸福度の研究が始まっており、国内においても荒川区や熊本県など多くの自治体が住民の幸福度を指標で表し、政策に反映する取り組みを行っています。
そのような中、土佐経済同友会及び一般社団法人しあわせ推進会議は、このような地域に暮らす人々の豊かさを捉える新しいアプローチをいち早く察知し、GDP や経済成長率など物質的豊かさという従来の価値基準だけでは測ることが難しい幸福実感を捉え、高知県独自の豊かさを示している「高知県民総幸福度(Gross Kochi Happiness:GKH)(以下、「GKH」という。)の指標案づくりを進め、また高知県民の幸福実感について、2013 年度からほぼ毎年アンケート調査を実施しています。
これまでの全8回を通じて、高知県県民の幸福実感について顕著な変化が生じている分野はさほど多くないことが伺える分析結果が出ました。
一方、これまで上昇傾向にあった一部幸福実感に、新型コロナウィルス感染症拡大によってマイナスの影響があることが考えられます。コロナ禍の状況と各分野への影響をどこまで関連づけられるかについては、本調査では詳細な調査が行われていないため、現時点では更なる調査が必要であると言わざるを得ません。
加えて、特に高知県に暮らす若年層の主観的幸福度の低さや、地域コミュニティとの関係の希薄さの増加が課題であると思われます。
性別、世帯構成や世代によって幸福実感の差があることは、持続可能な開発目標(SDGs)の理念である「誰一人取り残さない」を中心に据え、脆弱な立場に置かれている人々への配慮が求められます。
他方、高知県民の幸福実感についてよい傾向も見られます。特に高齢者層の幸福実感の高さが見られるとともに、より人生満足度が安定して高い傾向が見られます。
また、身近に自然を感じられる環境への実感が上昇トレンドにあるのではと考えられます。これは、高知県の大きな魅力をさらに高められる要素であり、自然環境の豊かさと人々の幸福向上との関係性をさらに検証すべきと考えます。
本報告書は、土佐経済同友会及び一般社団法人しあわせ推進会議が、これまで計7回(2013 年度、2014 年度、2016 年度、2019 年度、2020 年度、2021 年度、2022 年度)実施してきたGKH にかかるアンケート調査結果を総括し、高知県民が感じる主観的な幸福実感に関して、その特徴や傾向を取りまとめたものです。
私たちの幸福実感は人それぞれ千差万別であり、幸福実感の向上は個人主義的な自己責任論として捉えられがちです。しかし、幸福度に関する最近の多くの研究では、個人が幸福を感じられる要因には、経済的側面がもちろんですが、自然・生活環境、人のつながりなどの暮らしを支える基礎的条件が影響すると言われています。
このことは、人々の幸福実感の向上を個人的問題としてのみ捉えるのではなく、地域政策の目標として据えるべき課題であると言えます。人口減少・少子高齢化が益々進行する高知県において、そこに暮らす全ての人々が高い幸福を感じられ、将来にわたって住み続けられる地域づくりを通じて人々の幸福度を向上させることを政策目標として明確に示し、各種政策が人々の幸福度向上にどの程度寄与しているのかを把握し改善することが必要と考えます。
県内自治体に皆様におかれましては、住民の幸福度向上を具体的な政策目標として掲げ、住民が暮らしの中で高い幸福感を感じることができるよう、地域独自の特性や強みを活かしつつ政策課題の解決を図り、地域ならではの幸福、真の豊かさを享受できる地域社会の形成に向けてご尽力いただけることを切に願います。
本報告書が、現在及び将来にわたる高知県民の幸福・ウェルビーング向上の一助になれば幸いです。
最後に、本調査に協力をいただいたすべての皆様に感謝申し上げます。
2023年も7月1日~21日までの3週間、皆様方の率直なお気持ちを伺ったうえで、高知県や県内34市町村、経済団体等、各方面に分析した結果をもとに提言することなどを通じ、高知県の幸福度を更に向上させるお手伝いを引き続きさせていただきたく、昨年同様、アンケート調査を実施することと致しました。
本県は、一人当たり県民所得が全国でも最下位クラスと、客観データから見る限りは経済的には豊かとは言えませんが、「都会とは違ったあたたかさ、自然・食の恵みを感じながら、明るく暮らしている」というのが、多くの県民の実感なのではないでしょうか。
高知県民総幸福度(GKH)アンケート調査とは、そうした他のどこにもない高知らしい豊かさを「見える化」するために、高知での暮らしに対する県民の主観的な評価・充足感を把握していこうという試みです。これからも継続して、取り組んで参りたいと思います。
「高知県民の感じる幸せ」を紹介した冊子をダウンロードできます。
『高知家のしあわせ』のPDFダウンロード(PDF:15.99MB)
発行:高知家の家族会議 ~高知県の幸福度を考える県民会議~
【問い合わせ先】
このアンケート調査に関するお問い合わせ、ご質問などがございましたら、一般社団法人しあわせ推進会議事務局を通じて対応しますので、以下の照会先までご連絡くださいますようお願いいたします。
照会先:一般社団法人しあわせ推進会議 事務局
電 話: 088-856-9222(受付時間 平日9:00~17:00)
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